商業登記

放置は危険!休眠会社が抱えるリスクと対策

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休眠会社の管理リスクとその解決法

日本には、事業を停止しているにもかかわらず法人格が維持されている「休眠会社」が数多く存在します。こうした会社の放置は、さまざまな法的・経済的リスクを招く可能性があります。本記事では、休眠会社の管理リスクとその解決法について解説します。

休眠会社とは?

休眠会社とは、最後の登記から一定期間が経過し、実際には事業活動を停止している株式会社のことを指します。日本の会社法では、最後の登記から12年が経過した株式会社に対して「みなし解散」の手続きが行われる可能性があります。この制度は、休眠状態の会社が長期間放置されることで起こる社会的な弊害を防ぐために設けられました。

休眠会社の管理リスク

休眠会社を放置すると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

1. 登記記録の信頼性の低下

休眠会社の存在により、登記簿が実態を反映しなくなる場合があります。これにより、会社の商号が重複するなどの問題が発生し、他の企業の経済活動に影響を与えることがあります。

2. 不正利用のリスク

休眠会社の登記記録が悪用され、いわゆる「会社屋」などによる詐欺やマネーロンダリングといった犯罪の温床となるケースも報告されています。

3. 過料の発生

休眠会社が登記懈怠を続けると、会社法976条に基づき代表取締役に過料が科される可能性があります。過料は軽微な金額ではなく、経営者にとって大きな負担となることがあります。

4. みなし解散の手続き

法務大臣からみなし解散の通知を受けた場合、対応を怠ると会社は自動的に解散したものとみなされます。その結果、会社としての活動が大きく制限され、復活するための手続きにも多大な労力が必要になります。

解決法と対策

休眠会社のリスクを回避するためには、以下の方法を講じることが重要です。

1. 定期的な登記の更新

会社の役員変更や本店移転などの事項を速やかに登記することで、会社の実態を登記簿に反映させることが可能です。これにより、みなし解散の対象となるリスクを減らすことができます。

2. みなし解散通知への迅速な対応

みなし解散の通知を受けた場合は、速やかに届出書を提出するか、必要な登記を申請することが求められます。届出書には、会社がまだ事業を廃止していない旨を記載し、法務局へ提出します。この対応により、解散の手続きが回避されます。

3. 会社の整理・清算

事業活動を再開する予定がない場合は、清算手続きによって適切に会社を閉鎖することを検討すべきです。清算手続きは、債務や財産の整理を行い、会社の法人格を円滑に消滅させるプロセスです。

4. 司法書士への相談

法的手続きに不安がある場合は、司法書士に相談することでスムーズな対応が可能です。司法書士は、会社の現状を分析し、最適な対応方法を提案してくれます。

休眠会社の管理を怠るリスクに備える

休眠会社の管理を適切に行うことで、法的リスクや経済的な負担を大幅に軽減することができます。また、休眠状態にある会社の再活用や適切な解散手続きは、経営者としての責任を果たすうえでも重要な取り組みです。

休眠会社に関するQ&A

Q1: 休眠会社とは何ですか?

A1: 休眠会社とは、最後の登記から12年を経過している株式会社を指します。特例有限会社は含まれません。一般社団法人や一般財団法人の場合、最後の登記から5年を経過しているものが休眠一般法人とされます。

Q2: 休眠会社に指定されるとどうなりますか?

A2: 法務省は毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を実施しています。法務大臣による官報公告後、2か月以内に必要な登記申請や「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行わない場合、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記を行います。

Q3: 休眠会社のまま放置するとどうなりますか?

A3: 休眠会社を放置すると、以下の問題が生じる可能性があります:

  • 登記の信頼性の低下: 事業を廃止した会社が登記上存在し続けると、登記制度の信頼性が損なわれる恐れがあります。
  • 犯罪利用のリスク: 休眠会社が売買され、犯罪の手段として悪用される可能性があります。

Q4: 休眠会社の解散を避けるにはどうすればよいですか?

A4: 解散を避けるためには、官報公告から2か月以内に以下のいずれかの対応が必要です:

  1. 必要な登記の申請: 役員変更などの必要な登記を行う。
  2. 「まだ事業を廃止していない」旨の届出: 所定の届出書を管轄の登記所に提出する。

これらの手続きを行わない場合、解散の登記がされることになります。

Q5: みなし解散後に会社を継続することは可能ですか?

A5: はい、可能です。みなし解散の登記後3年以内であれば、株主総会の特別決議により会社の継続ができます。継続を決議した場合、その決議から2週間以内に継続の登記申請を行う必要があります。

Q6: 休眠会社のまま放置するデメリットは何ですか?

A6: 休眠会社を放置すると、以下のデメリットがあります:

  • 過料の可能性: 必要な登記を怠ると、代表者等が裁判所から過料(最大100万円)を科される可能性があります。
  • 行政手続きへの影響: 解散の登記がされると、印鑑証明書や代表者事項証明書の取得ができなくなり、行政手続きや取引に支障をきたすことがあります。

これらのリスクを避けるため、適切な手続きを行うことが重要です。

Q7: 休眠会社に関する通知書が届いた場合、どうすればよいですか?

A7: 通知書が届いた場合、速やかに以下の対応を検討してください:

  • 事業継続の意思がある場合: 必要な登記(例:役員変更登記)を行うか、「まだ事業を廃止していない」旨の届出(※)を提出する。
  • 事業継続の意思がない場合: 解散・清算手続きを進める。

通知を放置すると、みなし解散となり、会社の運営や取引に支障をきたす可能性があります。早めの対応をおすすめします。

※「まだ事業を廃止していない」旨の届出を提出しても登記を怠っている状態が解消されるわけではありません。

 

休眠会社に関する問題は専門的な知識が必要なため、個別の状況に応じた対応が求められます。兵庫県揖保郡太子町やその周辺地域で休眠会社にお困りの方は、ぜひ当司法書士事務所までお気軽にご相談ください。

この記事が、休眠会社の管理リスクを理解し、その解決法を検討するうえで役立てば幸いです。

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