旧姓併記制度の概要
不動産登記規則等の一部改正により、令和6年4月1日から、所有権の登記名義人の氏名に旧氏(旧姓)を併記することが可能となりました。
この制度は、婚姻や離婚などで姓が変わった方が、過去に使用していた姓を登記名義に併記することで、本人確認手続きの円滑化や業務上の利便性向上を図るものです。
併記できる旧氏は、過去に称していた氏であり、その者の戸籍または除籍に記載されているものに限られます。
なお、併記は所有権の登記名義人の氏名に限られ、日本国籍を有しない方は対象外となります。
また、併記できる旧氏は一つのみで、複数の旧氏を併記することはできません。この制度の導入により、旧姓での活動が多い方や職場で旧姓を使用している方にとって、登記情報と実際の使用名との一致が図られ、業務上の利便性が向上することが期待されています。
旧姓併記のメリット
不動産登記における旧姓併記制度の導入により、以下のようなメリットが期待できます。
1. 本人確認手続きの円滑化 婚姻や離婚などで姓が変わった方が、旧姓を併記することで、各種手続きにおける本人確認がスムーズになります。特に、職場や取引先で旧姓を使用している場合、登記情報と実際の使用名が一致するため、混乱や誤解を防ぐことができます。
2. 業務上の利便性向上 旧姓での活動が多い方にとって、登記名義に旧姓を併記することで、名刺や契約書などのビジネス文書との整合性が保たれます。これにより、業務上のコミュニケーションが円滑になり、信頼性の向上にもつながります。
デメリット
以下のようなデメリットも考えられます。
1. プライバシーの懸念 旧姓を併記することで、婚姻や離婚などを推測できる個人的な情報が公的記録に反映され、第三者に知られる可能性があります。これにより、プライバシーの保護が十分でないと感じる方もいるかもしれません。
2. 手続きの煩雑さ 旧姓併記を希望する場合、戸籍謄本や住民票などの各種書類を準備し、法務局での手続きを行う必要があります。これらの手続きは時間と労力を要し、特に平日に時間を確保しづらい方にとっては負担となる可能性があります。
これらのデメリットを考慮し、旧姓併記を希望する際には、個々の状況や必要性を十分に検討することが重要です。
旧姓併記の手続き方法
不動産登記における所有権の登記名義人の氏名に旧氏(旧姓)を併記する手続きは、以下の方法で行うことができます。
1. 登記申請に伴う旧氏併記の申出
新たに所有権の保存や移転の登記を申請する際、または所有権の登記名義人の氏名変更や更正の登記を行う際に、旧氏の併記を同時に申請することが可能です。この場合、登記申請書の申請情報として、登記権利者の氏名に括弧を付して旧氏および名を併記します。例えば、「山本花子(田中花子)」のように記載します。
2. 登記申請を伴わない旧氏併記の申出
既に所有権の登記名義人となっている方が、登記の申請を伴わずに旧氏の併記を希望する場合、単独で申出を行うことができます。この場合、申出書を作成し、必要書類とともに管轄の法務局に提出します。
注意点
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併記できる旧氏は一つのみ:複数の旧氏を併記することはできません。
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日本国籍を有しない方は対象外:旧氏併記の制度は、日本国籍を有する方のみが対象となります。
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登記申請に伴う申出と単独申出の区別:所有権の保存や移転の登記申請と同時に旧氏併記を申請する場合と、既存の登記に対して旧氏併記のみを申出する場合とで、手続きが異なります。
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申出書の正確な記載:申出書には、現在の氏名と併記する旧氏を正確に記載する必要があります。
法務局
兵庫県内における所有権の登記名義人への旧氏(旧姓)併記手続きは、不動産所在地を管轄する各地域の法務局で対応しています。
1. 神戸地方法務局 龍野支局
- 所在地:〒679-4167 兵庫県たつの市龍野町富永879番地2
- 電話番号:0791-63-3221
- 管轄地域:たつの市、揖保郡太子町、相生市、赤穂市、宍粟市、佐用郡佐用町、赤穂郡上郡町
龍野支局では、登記手続きに関する案内が予約制となっています。手続き前に電話で予約を行い、必要書類や手続きの詳細について確認することをおすすめします。
2. 神戸地方法務局 姫路支局
- 所在地:〒670-0947 兵庫県姫路市北条1丁目250番地
- 電話番号:079-281-0235
- 管轄地域:姫路市、神崎郡(神河町、市川町、福崎町)
姫路支局でも、登記手続きに関する案内が予約制となっています。事前に電話で予約を行い、手続きの詳細を確認してください。
手続きの際には、旧氏を証明する戸籍謄本などが必要となります。