親が住んでいた実家を相続し、そのまま「空き家」として管理されている方は多いのではないでしょうか。建物の老朽化には気をつけていても、意外と見落としがちなのが「敷地を囲むブロック塀」の劣化です。
過去の大地震では、倒壊したブロック塀の下敷きになり、通行人が尊い命を落とすという痛ましい事故が発生しています。
今回は、不動産を相続した所有者が負う「法的責任」と、姫路市が実施している「危険ブロック塀等撤去支援事業(撤去補助金)」について、司法書士の視点から分かりやすく解説します。
もしもブロック塀が倒れたら…誰の責任?
「自分は住んでいないし、親が建てたものだから…」と思われるかもしれませんが、法律上はそうはいきません。
民法では、土地の工作物(ブロック塀や建物など)の設置や保存に欠陥があり、それによって他人に損害を与えた場合、その工作物の「所有者」が損害賠償責任を負うと定められています。
つまり、老朽化したブロック塀を放置し、地震や台風で倒壊して通行人にケガをさせてしまった場合、相続によって現在の所有者となったあなたに高額な損害賠償が請求される可能性があるのです。
特に、ひび割れがある、傾いている、控え壁がない、高さが2.2mを超えているようなブロック塀は非常に危険です。万が一の事態を防ぐためにも、適切な維持管理や撤去が必要不可欠です。
最大20万円!姫路市の「危険ブロック塀撤去補助金」
そうはいっても、ブロック塀の撤去には安くない費用がかかります。そこで活用したいのが、姫路市が実施している「危険ブロック塀等の撤去費用の補助制度」です。
■ 補助の対象となるブロック塀
- 個人住宅(賃貸を除く)の敷地に建てられているもの
- 小学校の通学路、または小学校から500m以内の道路に面しているもの
- 建築基準法に適合していない、または老朽化により倒壊の危険性があると見なされるもの
■ 補助される金額
工事費の3分の2(最大20万円)
※ただし、撤去するブロック塀1平方メートル当たり1万円が上限となります。
■ 補助を受けるための条件
- ブロック塀をすべて撤去するか、高さ60cm以下まで一部撤去すること
【注意】必ず「工事着手前」に申請を!
この補助金を利用する上で最大の注意点は、「必ず工事を始める前(着手前)に姫路市へ交付申請を行うこと」です。
すでに業者と契約して工事を始めてしまったり、撤去が終わってから「補助金をもらいたい」と申請したりしても、受け付けることはできません。また、毎年度、市の予算枠に達し次第受付終了となるため、早めの行動が大切です。(※詳しくは姫路市の建築指導課へお問い合わせください)
詳細や最新情報は姫路市のウェブサイトでご確認ください。
https://www.city.himeji.lg.jp/sangyo/0000002749.html
補助金申請の第一歩は「相続登記」から
空き家になっている実家のブロック塀を撤去しようと思っても、土地や建物の名義が「亡くなった親」のままでは、補助金の申請手続きがスムーズに進みません。
補助金を申請し、安全な資産として管理・処分していくためには、まず現在の所有者が誰であるかを公的に証明する「相続登記(不動産の名義変更)」を行うことがすべてのスタートラインとなります。

