【姫路市の空き家問題】放置は危険!相続登記から考える、司法書士と進める賢い対策

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もはや他人事ではない、姫路市の「空き家問題」
姫路市にお住まいの方、あるいはご実家が姫路市やその近隣にある方にとって、「空き家」は決して他人事ではありません。親から受け継いだ実家、今は誰も住んでいないけれど、いずれ自分が相続するかもしれない家。ご実家には、家族の大切な思い出が詰まっていることでしょう。
しかし、その大切なご実家が、気づかぬうちに次世代への重荷、「負動産」になってしまう瀬戸際にあります。
現在、姫路市では空き家が増加し、その数は深刻な水準に達しています。この記事は、空き家問題に漠然とした不安を感じている姫路市民や、揖保郡太子町など近隣にお住まいの皆様が、問題を正しく理解し、その未来を回避するための、今すぐできる最初の一歩をご案内します。特に、すべての対策の基本となる「相続登記」の重要性について、法律の専門家である司法書士の視点から分かりやすく解説します。

1. データで見る姫路市の深刻な空き家事情

1-1. 姫路市の空き家率、実は全国平均より高い

まず、姫路市の現状を客観的な数値で見てみましょう。姫路市が令和4年3月に公表した「姫路市空家等対策計画」によると、平成30年(2018年)の住宅・土地統計調査において、姫路市の空き家総数は37,660戸、空き家率は15.0%にものぼります。
これは、同年の兵庫県平均(13.4%)や全国平均(13.6%)を上回る数値です。このデータは、姫路市が直面する空き家問題の深刻さを明確に示しています。

1-2. なぜ放置されるのか?空き家の76%が語る真実

さらに深刻なのは、空き家の「中身」です。同計画によると、姫路市内にある一戸建ての空き家のうち、実に76%が「その他の住宅」に分類されています。
これは、売却用でもなく、賃貸用でも、別荘(二次的住宅)でもない、ということを意味します。この高い割合は、多くが「相続したものの、どうしてよいか分からずそのままになっている実家」であることを強く示唆しています。つまり、姫路の空き家問題の核心には、相続にまつわる課題が潜んでいるのです。

1-3. なぜ姫路で空き家が増え続けるのか?人口動態から見える背景

空き家が増加する背景には、社会構造の変化があります。姫路市の総人口は将来的に減少することが予測されています。その一方で、世帯構造に目を向けると、高齢の夫婦のみの世帯や、高齢者の単身世帯が著しく増加しているのです。
国勢調査によると、平成7年(1995年)から令和2年(2020年)の間に、高齢夫婦世帯は2.4倍、高齢単身世帯は3.1倍にも増加しました。子どもたちが独立し、高齢の親が住んでいた家が、相続を機に活用されることなく空き家となるケースが増えていることが、このデータから読み取れます。

1-4. 【地域別】あなたのまちは?姫路市内の空き家分布と特徴

空き家は市内に均等に存在しているわけではなく、地域によって分布に特徴があります。ご自身の地域がどのエリアに該当するか、ぜひ確認してみてください。
• 中心市街地・密集市街地(飾磨・野里・広畑・城北など) このエリアは、空き家の件数・密度ともに高い傾向にあります。特に古くからの市街地では、空き家の6割弱が幅員4m以下の道路に面しているというデータがあります。これは単に「道が狭い」というだけでなく、建築基準法上の制約から「建て替えが難しい」という構造的な現実を意味し、家がそのまま放置され「塩漬け」状態になる大きな要因となっています。
• 郊外住宅地・農村部(夢前・香寺・安富など) 市の北部にあたるこのエリアは、豊かな自然環境が魅力ですが、人口減少や高齢化が課題となっています。親から受け継いだ家や土地があっても、子ども世代は都市部で生活しているため、管理が行き届かず空き家になってしまうケースが多く見られます。
• 臨海部や家島諸島 飾磨や広畑などの臨海工業地帯の周辺や、家島諸島でも空き家は目立ちます。特に離島では、若者世代の島外への流出が空き家発生の直接的な原因となり、コミュニティ維持の観点からも大きな課題となっています。

2. 姫路で空き家を放置するとどうなる?必ず知っておきたい7つのリスク

「誰も住んでいないだけ」と軽く考えて空き家を放置すると、想像以上に深刻なリスクを引き起こす可能性があります。ここでは、必ず知っておくべき7つのリスクを具体的に解説します。

2-1. 放置のリスク①:建物の老朽化と資産価値の暴落

人が住まなくなった家は、換気が行われなくなることで湿気が溜まり、驚くほどの速さで劣化が進みます。雨漏りやシロアリなどの害虫被害が発生すると、柱や壁が腐食し、建物の構造自体が危険な状態になることも。その結果、不動産としての資産価値は大きく下落し、いざ売却や賃貸を考えたときには、ほとんど価値がなくなっているという事態になりかねません。

2-2. 放置のリスク②:「草が伸び放題」「動物の住処に」ご近所トラブルの火種に

管理されていない空き家は、ご近所トラブルの直接的な原因となります。実際に姫路市内でも、近隣住民から悲痛な声が寄せられています。
• 「トタンの破片が落ちてきて頭に落ちそうになった」
• 「猫の住処になって糞尿の悪臭がひどい」
• 「庭の雑草が繁茂し、虫が増えて困っている」
• 「ゴミの不法投棄場所になっている」
こうしたトラブルは、単なるご近所付き合いの問題では済まされず、所有者としての管理責任を問われる事態に発展しかねません。

2-3. 放置のリスク③:「特定空家」に指定されると固定資産税が最大6倍に

放置された空き家の状態が特に悪化すると、行政から「特定空家等」に指定される可能性があります。これは「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づくもので、以下のいずれかの状態にあると判断された空き家を指します。
1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
ただし、「特定空家」の指定は突然行われるわけではありません。通常は市による現地調査や改善を促す「助言・指導」があり、それでも状況が改善されない場合に「勧告」へと進みます。この「勧告」を受けると、これまで適用されていた固定資産税の「住宅用地特例」が解除され、土地にかかる固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があるのです。行政からの通知は、手遅れになる前に行動を起こすためのサインと捉えることが重要です。

2-4. 放置のリスク④:所有者としての法的責任(損害賠償)

空き家の管理責任は、法律上、すべて所有者にあります。もし、空き家が原因で第三者に損害を与えてしまった場合、所有者は損害賠償責任を負うことになります。
姫路市内では、実際に第三者に危害を及ぼす可能性があると市が把握している空き家が699戸も存在します(「姫路市空家等対策計画」より)。あなたの家がその一つになった場合、その責任はすべて所有者であるあなたに降りかかるのです。例えば、強風で瓦が飛ばされて通行人に怪我をさせたり、火災が発生して近隣に延焼したりした場合、その損害は計り知れません。

2-5. 放置のリスク⑤:犯罪の温床となる危険性

人の出入りがない空き家は、不法侵入や放火、不法投棄といった犯罪のターゲットになりやすいという危険性もはらんでいます。一つの空き家が原因で、地域全体の治安が悪化してしまうことにも繋がりかねません。

2-6. 放置のリスク⑥:相続問題が泥沼化する

空き家を放置したまま所有者が亡くなると、事態はさらに複雑になります。相続人が複数いる場合、その空き家を「どうするのか(売るのか、壊すのか、誰かが使うのか)」について、全員の合意を得る必要があります。
時間が経てば経つほど、相続人がさらに亡くなり、その子どもや孫へと権利が分散(数次相続)していきます。そうなると、会ったこともない親戚まで含めて話し合いをしなければならず、合意形成は極めて困難に。最終的には誰も手出しできない「負動産」として、未来の世代にまで問題を先送りしてしまうことになるのです。

2-7. 放置のリスク⑦:所有者自身の精神的・経済的負担

空き家を所有し続けることは、目に見えないコストも伴います。毎年かかる固定資産税の支払いはもちろん、定期的な見回りや草刈りの手間、近隣住民への気遣い、そして「この先どうしよう」という将来への漠然とした不安。これらは、所有者にとって大きな精神的・経済的ストレスとなります。

3. 空き家問題、司法書士の出番です【相続登記の重要性】

ここまで見てきたリスクの多くは、不動産の権利関係が複雑であることに起因します。そして、その権利関係を整理し、対策の第一歩を踏み出すために不可欠なのが「相続登記」です。

3-1. すべての基本、「相続登記」とは?

相続登記とは、簡単に言えば「亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産を、財産を受け継いだ相続人の名義に変更する手続き」のことです。
この手続きは、空き家を売却する、貸す、解体するといった、あらゆる活用・処分の前提となります。これまで法律上の義務ではありませんでしたが、所有者不明の土地問題が深刻化したことを受け、2024年4月1日から義務化されました。正当な理由なく相続登記を怠ると、過料が科される可能性もあります。

3-2. なぜ売れない?貸せない?相続登記をしていない空き家が「塩漬け」になる4つの理由

相続登記をしていない空き家は、なぜ「塩漬け」状態になってしまうのでしょうか。その理由は明確です。
• 売買・賃貸契約ができない 不動産の売主や貸主になれるのは、登記簿上の所有者だけです。亡くなった方の名義のままでは、法的に有効な契約を結ぶことができません。
• 解体工事の同意が得られない 建物を解体するには、相続人全員の同意が必要です。相続登記をしないまま放置すると、前述のように相続人が増え続け、全員の同意を取り付けることが事実上不可能になります。
• 年月の経過で相続人が数十人に増え、話し合いが不可能になる 数次相続が発生すると、権利を持つ相続人がネズミ算式に増えていきます。連絡先すら分からない相続人が出てくると、遺産分割協議を開くことすらできなくなります。
• 行政からの指導や連絡が届かない 固定資産税の通知は現在の納税管理人に届きますが、「特定空家」に関する指導など、重要な連絡が現在の権利者に正確に届かないリスクがあります。

3-3. 司法書士への早期相談が、空き家問題解決の鍵

相続登記は、ご自身で行うことも不可能ではありませんが、非常に手間と時間がかかる専門的な手続きです。特に、相続関係が複雑な場合は、専門家である司法書士に相談することをお勧めします。
私たち司法書士は、単なる手続きの代行者ではありません。空き家問題という複雑な課題を乗り越えるための戦略的パートナーです。以下の業務をサポートし、あなたと一緒に最適な解決策を探します。
• 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本の収集
• 相続関係説明図の作成による、相続人の確定
• 相続人全員での話し合いをまとめた「遺産分割協議書」の作成
• 法務局への登記申請手続きの代理
空き家問題は、時間が経つほど解決が難しくなります。相続が発生したら、できるだけ早く司法書士に相談することで、権利関係をスムーズに整理し、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。これが、空き家の有効な活用や処分への最も確実な第一歩です。

4. 姫路市などもサポート!空き家活用の選択肢

相続登記を済ませ、権利関係が明確になれば、具体的な対策へと進むことができます。姫路市では、空き家所有者を支援するための様々な制度を設けています。ここではその一部をご紹介します。
• 売却・賃貸を目指す:「姫路市空き家バンク」制度 市が運営するマッチング制度で、空き家を「売りたい・貸したい」所有者と、「買いたい・借りたい」利用希望者とを結びつけます。市のウェブサイトで物件情報を公開し、移住定住の促進にも繋げています。
• 解体を検討する:「姫路市老朽危険空家対策補助金交付制度」などの支援 倒壊の危険があるなど、一定の条件を満たす老朽空き家を解体する場合、その費用の一部が補助される制度です。例えば個人型の場合、最大50万円(補助率1/3)が補助されます。建物の状態が悪く、活用が難しい場合に有効な選択肢となります。
• 活用する:「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」など税制上の優遇 相続した実家(一定要件あり)を売却した場合、その譲渡所得から最大3,000万円を控除できる税制上の特例です。これにより、売却時にかかる税金の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
これらの制度にはそれぞれ条件があります。どの選択肢が最適か判断に迷う場合は、まずは私たちのような専門家にご相談ください。 ※補助金の条件や金額は年度によって変更される可能性があります。必ず姫路市の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

5. まとめ:姫路の空き家問題、手遅れになる前に専門家へ相談を

この記事では、データで見る姫路市の空き家の現状から、放置することの深刻なリスク、そしてその対策の根幹となる「相続登記」の重要性までを解説してきました。
姫路市の空き家率は全国平均を上回り、今後も増加が見込まれる厳しい状況です。空き家を放置すれば、資産価値の低下、近隣トラブル、税金の増大、そして複雑化する相続問題など、様々なリスクが所有者に重くのしかかります。
ご実家には、家族の大切な思い出が詰まっていることでしょう。だからこそ、その価値を守り、次の世代に負担を残さないための準備が重要なのです。これらの問題を解決するための全てのスタートラインは、不動産の権利関係をはっきりさせること、すなわち「相続登記」を完了させることです。
姫路市や揖保郡太子町をはじめ、周辺地域にお住まいで、ご実家や相続した空き家について少しでも不安や疑問をお持ちの方は、問題が複雑化して手遅れになる前に、ぜひ一度、私たち司法書士のような専門家にご相談ください。早めの相談が、あなたの大切な資産と心の平穏を守るための最も賢い選択です。
参照:姫路市空家等対策計画
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