個人事業主から「法人成り」をするベストなタイミング(売上の目安など)はいつですか?
独立して3年目になり、ありがたいことに売上も順調に伸びてきました。知り合いの経営者から「そろそろ法人にした方が税金が安くなるんじゃない?」と言われたのですが、具体的にどれくらいの売上や利益になったら株式会社を作るのがベストなのでしょうか?
事業が順調に軌道に乗られているとのこと、素晴らしいですね。個人事業主の方が事業を会社組織に移行することを「法人成り(ほうじんなり)」と呼びます。
法人成りには様々なメリットがありますが、特に「税金」と「社会的信用」の面で大きな転換点となる目安がいくつかあります。一般的に「ベストなタイミング」と言われる3つのポイントを解説します。
ポイント①:事業の利益(所得)が「500万円〜800万円」を超えたとき
まず1つ目の目安は「売上」ではなく、そこから経費などを引いた「利益(所得)」です。
個人の所得税は、利益が増えるほど税率が高くなる「累進課税(るいしんかぜい)」という仕組みになっており、住民税と合わせると最大で約55%もの税率になります。一方で法人税は、原則として一定の税率(中小法人の場合、年800万円以下の所得に対しては15%など)が適用されます。
経費や控除の状況によって正確な分岐点は異なりますが、一般的に個人の事業所得が500万円から800万円を超えてくると、法人にした方が税金の負担が軽くなる可能性が高いと言われています。
ポイント②:年間の売上高が「1,000万円」を超えたとき
2つ目の目安が「消費税」に関するものです。個人事業主は、年間の課税売上高が1,000万円を超えると、その2年後から消費税を納める義務(課税事業者)が発生します。
しかし、このタイミングで新たに会社を設立すると、資本金1,000万円未満などの要件を満たすことで、設立から最大2年間は原則として消費税の納税が免除されます(免税事業者)。これを活用して節税を図る方は非常に多くいらっしゃいます。
※注意:近年導入された「インボイス制度(適格請求書発行事業者)」に登録する場合は、取引先との関係上、設立1年目からあえて課税事業者を選択し、消費税を納める必要があるケースも増えています。消費税の免税メリットについては、事業の状況を踏まえた慎重な判断が必要です。
ポイント③:取引先拡大や、従業員の採用を強化したいとき
税金面以外で最も重要なタイミングが、「信用力」や「組織力」が必要になったときです。数字の目安だけでなく、事業の成長ステージに合わせて法人成りを選択するケースです。
💡 このようなビジネスチャンスも法人成りのタイミングです
- 新規取引の拡大:「取引先は法人のみ」というルールを設けている企業と契約を結びたいとき。
- 採用の強化:優秀な人材を雇うために、社会保険(健康保険・厚生年金)を完備した「会社」にしたいとき。
- 資金調達:事業拡大のために、銀行や日本政策金融公庫からより大きな金額の融資を受けたいとき。
- 許認可の取得:事業に必要な許認可(建設業許可など)を、個人の時よりも安定して維持・取得したいとき。
まとめ
以前は「売上1,000万円」が絶対的な目安とされていましたが、インボイス制度の開始や社会保険料の負担などを考慮すると、最適な法人成りのタイミングは事業ごとに異なります。「税金面でのメリット」と「会社を設立・維持するコスト(均等割や社会保険料など)」のバランスを見極めることが大切です。
お客様の現在の売上状況や今後の事業計画をお伺いし、税理士さんとも連携しながら、最適な会社設立のサポートを行っております。
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