【相談事例】監査役や取締役会は、設立当初から設置したほうがよいのでしょうか?

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監査役や取締役会は、設立当初から設置したほうがよいのでしょうか?

友人3人でIT関連の株式会社を新しく立ち上げる予定です。インターネットで調べたところ、「取締役会や監査役を置いた方が、対外的な信用力が上がる」という記事を見かけました。
これから銀行の融資も受けたいと考えているのですが、やはり設立当初から取締役会と監査役は設置したほうがよいのでしょうか?

ご相談者:姫路市飾磨区にてシステム開発会社を設立予定の方

司法書士からの回答・解説

結論から申し上げますと、小規模なスタートアップやご家族・ご友人中心で始める会社の場合、設立当初は「取締役会も監査役も置かない(取締役のみのシンプルな構成)」ことをおすすめします。

現在の会社法では、株式を自由に譲渡できない「非公開会社(一般的な中小企業のほとんどが該当します)」であれば、取締役1名だけでも株式会社を設立できます。無理に最初から大企業のような複雑な組織(これを法律用語で「機関設計」と呼びます)にする必要はありません。

取締役会・監査役を置くことのメリットとデメリット

たしかに、インターネット上の情報にある通り、取締役会や監査役を設置することによるメリットは存在します。しかし、同時に大きなデメリット(法的な義務やコストの負担)も発生するため、両方を正しく理解しておくことが重要です。

メリット

  • 「しっかりとした組織体制がある」と見られ、対外的な信用力が上がりやすい。
  • 将来的に株式上場(IPO)を目指す場合、その土台作りになる。
  • 一部の許認可が必要なビジネスや、大企業との取引条件において有利に働くケースがある。

デメリット

  • 人数の確保が必要:取締役会を置くには「取締役3名以上」+「監査役1名以上」の最低4名の役員を集めなければなりません。
  • 役員報酬等のコスト:名前だけの役員(名義貸し)を置くことはトラブルの元であり、活動実態があれば役員報酬などのコストが増大します。
  • 登記費用の負担増:役員が多い分、任期満了に伴う「役員変更登記」の手間と、法務局へ払う税金(登録免許税)や司法書士費用が発生するケースが増えます。

銀行の融資審査への影響は?

「融資を受けるために監査役や取締役会があったほうが有利か?」というご質問ですが、日本政策金融公庫などの創業融資において、「取締役会がないから」という理由だけで審査に落ちることはまずありません。

創業時の融資で金融機関が重視するのは、会社の組織図よりも「事業計画の実現可能性」「経営者のこれまでの経歴や熱意」「自己資金の額」など、ビジネスそのものの中身です。

実態のない名義だけの監査役を置くよりも、代表取締役(経営トップ)がしっかりと事業の舵取りをしていく姿勢を示す方がはるかに重要であり、金融機関からの評価も高くなります。

司法書士からのアドバイス:「小さく産んで大きく育てる」

会社設立時は、なるべく手続きや維持コストを軽くし、本業のビジネスに集中できる環境を作ることが起業成功の秘訣です。

最初はご相談者様を含む数名の「取締役のみ」で身軽にスタートすることをおすすめします。その後、事業が軌道に乗り、外部から本格的に資金調達をするタイミングや、会社をさらに大きくしていく段階になった際に、後から定款(会社のルールブック)を変更して、取締役会や監査役を設置するのがもっとも賢い方法と言えます。

「自分たちのビジネスには、どのような役員構成が最適か?」
「将来のビジョンを見据えた定款の作り方を知りたい」

会社設立の手続きはもちろん、設立後の運営がスムーズにいくための最適なルール作りから法的にサポートいたします。
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